関東人の日記

~感想人~

樋口円香とレッスン室の鍵

樋口円香の W.I.N.G. 編を読んだ感想です。

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レッスン室

本当に本当に、真面目な子ですね。

レッスン室

バウンダリー」では、ファンに直接出会う場面があります。 ファンサービスをきちんとおこないますが、円香に響いた様子はありません。 しかしこのコミュから、レッスン日でなくともレッスン室の鍵を借りる描写が入ります。

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W.I.N.G. 編「バウンダリー

「カメラ・レンズに笑う」では、彼女はアイドルを楽な商売と表現します。 最初に出会ったときも、友人が悪徳事務所に騙されていないかという動機から283プロを訪れます。 彼女は騙されることに対しての不信感が強いと思います。 これはおそらく本人の聡さから来るものでしょう。 そしてアイドルもそのような職業だと思っていた。

しかしながらファンに出会ってから変化が見られます。思っていたよりも軽薄な人間が跋扈する環境ではなかった。 それがより明白になるのは「二酸化炭素濃度の話」ですね。

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W.I.N.G 編「二酸化炭素濃度の話」

一生懸命頑張る他のアイドルを見てしまった。控室で震える子や深呼吸する子、大声で泣き出す子。 P から合格を信じていると言われ、期待は背負わないと口では言います。 ですが続けて口にするのは(おそらくは不合格になるであろう)子の話。 出会ったファン、不合格になったアイドルの気持ちを背負ってしまっているのは明らかです。

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W.I.N.G. 編「心臓を握る」

期待を背負いたくない、必死に生きたくない、レベルを試されたくない。 身の程や限界が知れてしまうのが怖いというのは、読者によっては身をつままれると思います。

このシーズン4を合格した後、ここでもまた自主レッスンへと向かいます。 「心臓を握る」では、 P が「円香はこれまでもずっと全力を出してきた」と言うと的外れと否定しました。 薄々気づき始めているでしょうが、しかしまだ認める訳にはいかないのだと思います。 W.I.N.G. に敗退したとき、すべてを理解し悟ります。

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W.I.N.G. 敗退

熱意があれば、技術があればどうにかなるものでもない。将来の保証もない。 冷静になるまで気づかなかったと言います。 彼女はアイドルをすることに熱中していたということです。

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W.I.N.G. 編 優勝後

W.I.N.G 優勝後のこの台詞は円香への救いになったと思います。 背負った期待も培った努力も何もかも、アイドルをやって良かったと昇華されるこの台詞が本当に好きです。

まとめ

シーズン4合格時、費やした時間も労力も結果もあなたのせい、と円香は言います。 そして優勝後、「あなたのおかげです」と礼をする対比は良いものですね。

その態度から一見アイドルに対して不真面目に見えて、むしろ愚直なまでに真面目な所がいとおしい。 円香がどのようにアイドルをしていくか、今後が楽しみです。